2020/12/03

転職での年収アップは可能?相場や成功パターンと注意点を紹介

転職で年収アップは十分可能で、2019年上半期の実績によると、30代から40代前半で転職した人のうち3~4割が年収増に成功しています。転職で年収アップを確実に目指すなら、転職による年収の増減率や業界・職種などの傾向、そして注意点を知っておくことが大切です。本記事では転職による年収の変化や、年収がアップしやすいパターンを解説し、成功のポイントや注意点、そして成功事例を紹介します。

転職時に年収アップした割合と上昇率の相場

近年は、人手不足などを背景に、転職で年収アップに成功した人の割合が高く推移してきました。ここでは、実際のデータをもとに、転職で年収が増加した割合や上昇率について紹介します。

年収がアップした割合

厚生労働省「令和元年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、30代から50代で転職した人について、賃金を前職と比較すると、全体としては前職よりも賃金が上がったケースが多いという結果でした。

30代から40代のうち4割もの人が転職によって年収アップに成功しているという結果です。30代、40代で転職しても年収が変わらなかったのは2~3割で、年収が下がったのは2~3割でした。つまり、年収がダウンした人よりも、年収アップに成功した、または横ばいだったという人の方が多く、転職では年収アップのチャンスが大きいということがわかります。

一方、50代では転職によって年収がアップした人よりも、年収がダウンした人の方が多いという結果でした。ただしそれでも50代前半に限れば34.3%の人が年収アップに成功しており、チャンスが極端に少ないわけではありません。

年収の上昇率

前掲の厚生労働省の調査によると、「転職によってどのくらい年収が上がったのか(下がったのか)」を示す増減率について、30代から50代で転職によって年収アップに成功した人のうち、「10%以上アップした」人の方が、「10%未満しか上がらなかった」人を上回っていました。つまり、転職で年収アップを狙う場合、年収10%増は現実的に目指すことができる水準だといえます。

特に、プロとして脂が乗っている時期とされる35~39歳や40~44歳で転職した人のうち、10%以上の年収アップに成功したのは、それぞれ30.5%、26.0%という高い割合でした。

転職で年収アップしやすいケースとは?業界・職種・資質

厚生労働省のデータで30代から50代は年収アップのチャンスがあるということは分かりましたが、実際に転職で年収アップを目指す際は、年収アップにつながりやすい要件を知っておくと有利です。ここでは転職によって年収増を見込みやすい業種、職種や素質を紹介します。

成長性がある業界

まず、成長性の高い業界を目指すと年収アップにつながりやすくなります。

成長性が高い業界の場合は、市場規模の拡大に伴って売上も投資も増えやすく、また優秀な人材を必要とするため、待遇や労働環境などの条件が良いポストが豊富です。一方、縮小していく業界は、個別企業の努力だけでは成長が困難であり、労働者の賃金カットや人員整理といった動きが起こりやすくなります。

経済産業省「企業活動基本調査確報」によると、2017年から2018年にかけて売上が伸びていた産業は以下の通りでした。

- クレジットカード業、割賦金融業:同7.8%増
- 学術研究、専門・技術サービス業:同5.8%増
- 電気・ガス業:売上高前年度比5.2増
- 情報通信業:同4.1%増

近年は高度デジタル化によってIT関連事業が伸び続けている状況です。「情報通信業」の1つである「情報処理・提供サービス業」は全体の中でもトップクラス(19.1%)の伸びでした。

需要が底堅く推移している職種

需要が底堅い職種も年収アップに成功しやすいといえます。世の中には、常に一定のニーズがあるものの、その要件を満たす人材の数は増えず、慢性的に人手が不足しがちな職種もあるものです。

代表的なものは専門資格が必要な仕事で、例えば建設業では設計・工事をするために建築士や施工管理技士の有資格者が必要ですが、これらの資格を取得するのは簡単ではありません。他にも、医療・製薬、製造、不動産など幅広い分野で事業運営に不可欠な資格があり、景気によって求人数の増減はあるものの、常に底堅いニーズは存在します。

また、資格以外にも高度なスキルや経験を必要とする職種も同様です。例えば高収入の仕事の代表としてコンサルタントやITエンジニアが挙げられますが、どちらも専門知識・スキルが必要で、そのような要件を満たす人材は決して多いわけではありません。

組織や事業をリードする人材

組織・事業が進むべき方向を示してリードできる人材も年収アップに成功しやすいでしょう。このような人材は、経営やマネジメントができる人材と言い換えることもできます。

どのような会社・組織でも、トップ人材によってそのパフォーマンスは大きく左右されるものです。優秀な人材がトップに就けば、正しい戦略を策定して部下のモチベーションも上がり、業績が上向きます。一方、能力の足りない人材が組織を率いると、判断を誤り組織も活性化せず、悪い結果につながりかねません。

このように、適切に会社組織を引っ張ることができる人材は会社に多大な利益をもたらしますが、そのような優秀な人材は引き合いが強いため市場に余っているわけではありません。そこで、現職よりも良い条件で引き抜きたいという経営者も多く、転職で年収が上がる可能性が高いのです。

転職で年収を高めるための3つのポイント

転職で年収アップを狙うなら、給与交渉や転職先選びなど、いくつかの場面で年収アップにつながるポイントを意識することが大切です。ここでは給与交渉の方法や、転職の方針の決め方、求人の探し方を解説します。

実績を洗い出し給与交渉でアピールする

転職後の年収を決める重要な場面の1つが給与交渉です。給与交渉をスムーズに進めるためには、実績の洗い出しと、アピールすべき材料の整理が欠かせません。

実績の洗い出しとは、過去の経験を振り返り、自分がどのような実績を挙げてきたのかを棚卸しすることです。当時の課題やそれに対する解決策、そして取り組み方やその結果など、一連の流れを整理しましょう。その時の役割・役職や、実績の数字など、なるべく細かく洗い出すことが大切です。

次に、過去の実績の中から、給与交渉でアピールすべき材料を選び出します。営業職を希望しているなら営業としての実績を中心に選ぶだけでなく、さらに転職先の事業を分析した上で特にどのようなポイントを訴求すると関心を持たれるのかを意識しましょう。

強みを活かせるフィールドを目指す

強みを活かせるフィールドを選ぶことも大切です。

仕事においては、自分の苦手分野よりも得意分野で勝負した方が成果につながりやすく、さらに高い評価を得られて待遇も上がりやすくなります。例えば、エンジニア経験が長い人が転職する場合、技術よりも管理の方が得意であれば、プロジェクトマネージャーなどの職を目指した方が有利でしょう。

このように、過去の経験から自分の強みを洗い出した上で、その強みがどの分野なら最も活かしやすいのかを十分に検討することが重要です。

業種・分野を問わず幅広く探す

年収アップを目指す上では、業種や分野を広げて探すことも役立ちます。

通常、特定の業界・職種での経験が長ければ、その分野の専門知識やスキルが身についているので、その分野で活かせる強みを獲得しているのが普通です。しかし、だからといって過去と同じ業種・分野にこだわることが最良の決断とは限りません。

例えば、製造現場での経験が長い場合、現場でのリーダー経験を活かして管理職や人事職といったキャリアで活躍できるケースもあります。前職が自分にとって最も活躍しやすい分野なら同じ職を選ぶことに問題はありませんが、キャリアチェンジも視野に入れると、意外なところで活躍の幅が広がり待遇アップにつながる可能性もあるのです。

転職で年収アップを目指す注意点とは?

年収アップを目的に転職を考える人は多く、実際に成功するケースも多くありますが、転職後に後悔しないためにはあらかじめ慎重に検討しておくことも大切です。ここでは転職で年収アップを目指す時に注意すべきポイントを解説します。

長期的視点で現職と比較する

まず、長期的な視点を持つことが大切です。

賃金を1~2年のスパンで考えてしまうと、短期的には得をしても長期的には損をするということもあります。例えば、「現職よりも年俸100万円アップ」という提示は確かに魅力的に見えますが、その後の昇給が少なければ、結局現職にいた方が長期的な収入が高かったという結果にもなりかねません。逆に、「転職時は年収が横ばい」という場合でも、その後の昇給ペースが早く、結果的に得をすることもあるのです。

入社後に「思っていたよりも賃金が増えないのでまた転職したい」と思ったとしても、年収のために転職を繰り返すとキャリア形成で不利になっていきます。あらかじめ長期的な視点を持ち、できれば生涯年収まで考慮に入れて比較することが重要です。

報酬・評価体系にも注目する

人事評価制度や報酬制度にも注意しましょう。

会社によっては、個人のスキルや成果がそれほど人事評価に反映されないというケースがあります。「転職先でどんどん成果を出して待遇を上げて昇格したい」という人にとって、人事評価で個人の成果が重視されないのは不満の原因になりかねません。

また、報酬制度についてもインセンティブの要素が大きすぎる場合や、逆に年功序列の要素が強すぎる場合は注意が必要です。あくまでも長期的に固定部分の報酬が上がるかどうかを比べる必要があります。

報酬以外の判断軸も検討する

あえて報酬以外の要素も検討してみると、かえって満足度の高い転職につながる可能性があります。

収入は仕事をする上で重要な要素ですが、仕事にはやりがいや充実感、人間関係などさまざまな要素があり、収入はその中の1つです。転職の際に収入以外の判断軸も組み合わせることで満足度の高い転職に成功しているケースもあります。

例えば、下記は役職定年を控えていた方が転職したケースです。役職定年後に年収が半減するところでしたが、年齢に関係なく実力が評価される会社に移籍したことで、前職よりもやや年収が下がったものの、高い年収水準をキープできました。


「役職定年で年収が半減する前に、同水準の給与で働ける企業を求めて転職」


このように、年収以外の判断軸にも注目することで、納得できるキャリアの選択肢が開ける可能性があります。

【事例紹介】大幅な年収アップを実現した人の特徴と転職パターン

ハイクラス・エグゼクティブの移籍を専門に手掛ける『転機』では、移籍によって年収アップを実現した事例が多数ございます。ここでは2つのパターンに分けて成功事例を紹介します。

スキルを活かして中核ポストに就任

1つ目は、これまで培ってきたスキルを活かして中核ポストに就くことで年収アップを実現したケースです。

例えば、下記はトップ級メーカーにおいて部門全般の統括やシステムの責任者の経験があるという、実績も能力も十分な方が、転職で経営・事業の中核メンバーとして迎えられたケースです。一般的に50代で転職すると転職先が見つかりにくく年収がダウンする傾向もありますが、高いスキルを持つ人材には好条件のオファーが届くことを示す好例といえます。


「50代にして年収100万アップで移籍が実現」

実績を武器にキャリアアップに成功

2つ目は、過去に十分な実績があり、さらに上位の役職や裁量の大きな職に挑戦する能力が備わっている人が、転職によってキャリアアップに成功したパターンです。

下記は営業支店長として就任後1年のうちに対前年比で140%の売上アップを果たした方が、転職でマネージャー人材のポストに移籍し、年収300万円増に成功したケースです。


「管掌範囲の拡大にも関わらず昇給が伴わず転職を検討。結果、年収300万円アップに成功。」


下記は自社の通信販売事業とクライアントのEC事業へのコンサルティングのどちらにおいても数億円の売上に貢献した人材が、その実績を評価され、新規事業の責任者として年収300万円アップで迎えられたケースです。


「通販事業の実績を高く評価され、年収300万アップで移籍」


どちらのケースでも、優れた実績を持った方が、その成果や能力を適正に評価する環境に移ることで、待遇や役職アップに成功しています。

【サービス紹介】『転機』ではこれまでのご経験を活かせる、新たなキャリアの提供が可能です

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