2020/06/30

役職定年は何歳から?給与は減る?
その実態と転職のタイミングを解説

役職定年とは、一定の年齢に達すると管理職などの役職を解く制度です。役職定年後は所属や仕事内容、収入などが大きく変わることもあるので、働き方ややりがいへの影響は少なくありません。特に40代や50代の方が、今後のキャリアプランやライフプランを考える際は、役職定年で仕事にどのような変化があるのかを知っておくと役立ちます。役職定年をきっかけに転職を検討する方も、転職活動を有利に進めるには活動を始めるタイミングや注意点を知っておくことが大切です。本記事では、役職定年の仕組みや一般的な年齢、給与の変化、モチベーションへの影響などを紹介した上で、転職を考えるならどのようなタイミングが良いのか、メリットとデメリットにも触れながら解説します。

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役職定年制とは?

役職定年制とは、管理職などの役職に就いている社員がある年齢に達するとその役職を外される人事制度です。役職定年後の配置は、職務が変わり同じ職場に残るケースや所属異動になるケースなど人によって異なります。役職定年後の職務は、専任職や専門職、そして一般職などさまざまです。なお、定年退職制度は一定の年齢に達した社員が退職するのに対して、役職定年制は役職が解かれるものの雇用は継続します。

厚生労働省系団体の資料「高齢社員の人事管理と展望」によると、2013年時点で役職定年制を導入していた企業は34.1%でした。大企業ほど役職定年制の導入率が高く経営層からの関心も強い傾向があり、企業幹部向けのアンケート調査によると正社員100人以下の企業で役職定年が「必要」または「やや必要」と答えた割合は66.1%だったのに対して、5000人超の大企業では78.1%でした。

【出典】独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「高齢社員の人事管理と展望」(平成27年度):「図表5-1 役職定年制の実施率の推移」(P268)、「図表5-2 勤務先の経営特性別にみた「役職定年制」・「役職の任期制」の必要性」(P270)

日本国内で役職定年制が導入された背景には、組織の新陳代謝を促して次世代人材を育成したり、人件費の増加を抑えたりする狙いがありました。また、社員が高齢化する中でポスト不足を解消する目的もあったのです。高齢化やデジタル化が加速している日本国内ではこの流れがさらに強まる可能性があります。

役職定年制は、役割・職務や待遇、仕事内容など、働き手にさまざまな影響がある制度です。役職定年後の社員は、給与が減りやりがいを失くす可能性もあります。そのため、役職定年を控えている方が将来にわたって納得のいくキャリアを歩むには、役職定年の仕組みや具体的な影響をあらかじめ理解しておくことが大切です。以下では役職定年年齢、給与、モチベーションの3点について掘り下げていきます。

役職定年の年齢は何歳から?企業によって変わる?

役職定年の年齢は、50代後半から60歳までの間に定められていることが多いようです。人事院の調査によると、役職定年制を導入している企業のうち、部長級の役職定年年齢を55歳から60歳までに設定している企業は96.1%、課長級では91.6%でした。役職定年年齢で最も多くの企業が定めていたのは55歳で、部長級は41.0%、課長級は46.8%という結果です。

同資料によると、役職定年年齢は企業や役職によって傾向が見られます。例えば、企業規模が大きくなるほど役職定年年齢も高くなっているのです。役職については、部長級よりも課長級の方が、役職定年年齢が低くなっていました。つまり、このデータによると、中小・中堅企業かつ課長級ポストの方が、役職定年が早いといえます。

また、定年退職の年齢によっても役職定年年齢が変わるようです。定年退職が61歳以上の企業では、それに合わせて役職定年年齢が60歳に設定されているケースが多くなっています。

長期的なキャリアプランやライフプランを立てるためには、役職定年年齢は重要な要素です。役職定年制の細かい規定は企業によって異なるので、お勤め先のルールを知りたい場合は就業規則などで確認しましょう。

役職定年後の給与はどれくらい減る?

役職定年後は年収が減るケースが一般的です。三菱系研究財団の資料「50代・60代の働き方に関する調査報告書」によると、役職定年をきっかけに9割以上の割合で年収が減少し、「変わらない」または「増えた」と回答した人はわずか10%未満でした。

60-64歳

9割は年収ダウン

最も多かったのは従来の年収の50?75%に減少したケースで、全体の30%超です。次に多かったのが、年収が従来の25?50%に落ち込んだケースで、全体の30%程度を占めます。年収減が75?100%にとどまった割合は20%程度である一方、年収が25%未満にまで落ちた人は60?64歳のうち7.7%、65?70歳にいたっては15.5%という結果でした。

役職手当停止や基本給減が影響

役職定年によって年収が下がる大きな理由は、役職手当の支給が止まることと賃金ベースの減少です。部長や課長といった役職者は、基本給に加えて役職手当が支給されます。また、役職者は等級も高く、基本給や職能手当といった待遇体系が高いケースが普通です。
しかし、役職を解かれると役職手当がなくなり、基本的な待遇体系が従来未満の水準にまで落ち込みます。その結果、年収が大幅に減ってしまうのです。

生計維持に備えが必要

役職定年によって年収が下がることは、生活にも大きく関わる問題です。役職定年は企業を退職するわけではないので、退職金制度がある企業でも退職金がすぐに受け取れるわけではありません。また、現在は年金の支給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられているのに加えて、在職老齢年金制度によって給与所得者は収入によって年金を満額受給できない可能性があります。先の調査によると、役職定年後は9割のケースで年収ダウンが見込まれるので、生計を維持するための準備が必要になる可能性もゼロではありません。

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役職定年後の仕事へのモチベーション

役職定年後は、待遇や立場、環境などが変化するため、モチベーションの維持が課題になる可能性があります。

モチベーション

待遇の悪化

役職定年後は、これまで管理職で恵まれた給与を受け取っていた人も、一気に収入が減少する可能性があります。仕事の内容が報酬に見合うならまだしも、役職が解かれても実質的には同じような難易度、専門性の仕事を任されるにもかかわらず、給与だけが減らされるというケースもあるでしょう。こういった場合にやる気を維持するのは簡単ではありません。また、収入が大きく減少すると生活に不安を抱えてしまう可能性があります。

職場環境の変化

環境の変化もポイントです。役職定年後は、これまでの知識・経験や人間関係を活用できるように、従来と同じ職場に配属されることが多くあります。この場合はスキルも経験も活かせるため、業務面での戸惑いは少ないでしょう。一方、別の部署への異動となるケースもあります。「50代・60代の働き方に関する調査報告書」によると、全体の約3割が役職定年の際に所属異動があったと回答しました。異動先によっては経験が活かせず、新しい業務や風土に戸惑うこともあるため、仕事が捗らずストレスになる可能性もあります。

立場の変化

立場の変化も重要です。役職定年後も元の部署に残るケースでは、これまで上司であった自分が平社員となり、かつての部下が新たに上司となる逆転人事も珍しくありません。このような場合に、新しい役職者がやりにくさを感じてしまったり、あるいは自分が違和感を覚えてしまったりする可能性があります。お互いの立場が変化して職場の人間関係の在り方も変わり、仕事の士気にも悪影響を与えることもあるのです。

なお、ここまで役職定年がモチベーションに与える影響について紹介してきましたが、役職定年後もやりがいを感じながら働く人もいます。調査によると、役職定年後も仕事をする理由として生計維持のためという回答が多かった中で、生きがいや社会とのつながりを得るための手段と捉えている人も多くを占めていました。また、所属異動についても、必ずしもネガティブに捉えるのではなく、職場の人間関係のやりにくさを回避できたとして、異動が満足だと回答した人も一定数いたのです。

役職定年を迎える方の転職タイミングはいつが良い?

いつか役職定年を迎える方にとって、このまま企業に残って役職定年を迎えるのか、あるいは転職して新しいキャリアを歩むのかという選択は重要な問題です。役職定年を選ぶのであれば特別な準備は不要ですが、転職を選ぶ場合は主体的にアクションを取らなければなりません。行動を先延ばしにするといつの間にか役職定年を迎えてしまうため、役職定年前の転職には計画性が求められます。

役職定年を控えての転職にはタイミングが大切です。早めに行動しておくと有利な一方、遅れて行動すると不利になる可能性があります。ここでは役職定年前に転職するメリットと、役職定年後に転職するデメリットについて紹介します。

役職定年前の転職メリット

役職定年前に転職をするメリットは、選考で有利になりやすいことや、希望の職とのマッチングがしやすいことなどさまざまです。

まず、少しでも若い方が選考で有利な傾向があります。役職定年を控えている方は、50代あるいは40代後半という年齢層が中心です。募集側からすれば、採用した人材には長く働いて欲しいと考えるのが自然といえます。そのため、間もなく定年退職を迎える人材よりも、長く活躍できる年齢の人材が好まれる傾向があるのです。

また、役職者として現職でいる方が転職では有利に働きます。管理職や経営層といったプロフェッショナル人材を求める企業は大企業の他にも中小・中堅企業など幅広くありますが、共通しているのは知識や能力がある即戦力人材を希望するという点です。応募する際は、役職定年などでブランクがない方が即戦力をアピールしやすくなります。

さらに、希望の職が見つかりやすい点もメリットです。役職定年前から転職活動をしていれば、若さや即戦力、転職意欲などをアピールできるため、能力やモチベーションの高い人材であることを強調できます。転職先の待遇などは前職を参考に決められますが、一般的には役職が解かれる前の方が年収は高いため、収入面でも有利です。つまり、自分が希望する仕事に就けるチャンスも増え、転職市場における価値を高めることにもつながるのです。

役職定年後の転職デメリット

役職定年の後に転職活動を始めると、さまざまなデメリットがあります。

まずは選考面での懸念です。先述のように、役職定年を待ってから転職すると年齢的な理由から定年退職が近くなるので、長く活躍する人材を求めている企業からは敬遠される可能性があります。役職者や経営層人材といった求人があり、スキル要件を満たしている場合でも、役職定年でブランクが空くと実力が発揮できないのではという心配もあるでしょう。

また、タイミングの問題もあります。役職定年後に転職活動を開始すると、基本的には定年退職までの短い期間で転職先を決めなければなりません。定年退職してからでも仕事を探すことは可能ですが、ブランクや年齢的な理由で望み通りの仕事に就くハードルは上がります。そのため、理想の仕事に就くためには、転職活動に取り組む時期は実質的に定年退職前までに限られているともいえるのです。役職定年後に転職活動をスタートすると、せっかくの良い仕事があっても、チャンスを逃してしまう可能性があります。

その他は、気力や体力の問題です。既出のアンケート調査によると、50代から60代の男女のうち、3割から4割程度が働き続けるうえでの障害や課題として挙げていたのが、肉体的衰えや気力の落ち込みなどの身体的・精神的事情でした。特に定年後に仕事を続けている人はこの傾向が強くなります。このことから、役職定年を控えている方にとっては、現役であり若いうちに行動を始めることが転職には有効なのだといえます。

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