2020/11/06

セカンドキャリアで女性が管理職として成功する方法とは?現状の課題と役立つスキル・経験

女性活躍を推進する法整備をはじめ、セカンドキャリアで管理職や役員を目指す女性を後押しする動向が広がりつつあります。しかし、会社側の制度や組織風土の整備には時間がかかり、女性が働きやすい環境作りには課題があるのも事実です。本記事では、セカンドキャリアで転職して管理職や役員として活躍することを目指す女性に向けて、女性役職者をめぐる現状や課題、働きやすい会社の特徴や役立つスキル・経験を紹介します。

女性の管理職をめぐる状況とは?

女性がセカンドキャリアにおける活躍を目指す際は、女性管理職や役員をめぐる状況が現在どのように変化しているのか、正しく理解しておくことが大切です。ここでは、管理職や役員への女性登用の動きを紹介します。

管理職に占める女性の比率は伸び悩み傾向

現在、管理職に占める女性の比率は伸び悩んでいる状況です。厚生労働省「雇用均等基本調査(女性雇用管理基本調査)」によると、2019年時点での係長相当職以上(役員含む)に占める女性の割合は13.7%でしたが、これは2015年の12.8%と比較して微増にとどまりました(企業規模10人以上)。

役職ごとに女性比率の伸び方をみると、係長級では14.7%から17.1%に、課長級では8.4%から10.9%にそれぞれ2ポイント以上増えていたのに対して、部長級は1ポイントほどの伸びにとどまっていました。

上場企業の役員に占める女性の割合については、内閣府の発表によると2019年7月時点において5.2%で、これは2012年の1.6%と比較すると着実に伸びている状況です。ただし、海外では30%を上回る国も多く、諸外国と比べるとまだ途上段階だといえます。

女性を積極登用する会社も

女性の役職者比率が大幅には増えていない一方で、女性を積極的に登用しようとする会社もあります。

事業戦略上の理由を背景として、特に目立った動きがあるのがBtoC企業です。消費財メーカーや小売・サービス系企業は、女性の顧客を数多く抱えています。そこで、消費者である女性の視点を取り入れるためには女性人材の活用が不可欠なのです。

他にも、グローバル企業や上場企業はコーポレートガバナンス上の理由で女性登用に動いています。世界では性別や人種を問わず多様な人材が活躍する会社が多い中、女性の登用が少ない日本企業は、多様性が損なわれているのではという見方があるのも事実です。

このように、さまざまな事情で重要職に女性を迎えたい会社はあり、優秀な女性の活躍に動いています。

女性活躍を後押しする動向も

女性の活躍を後押しする社会的な動向も存在しています。

日本政府は「女性が活躍できる社会」の実現を目指し、2015年には第4次男女共同参画基本計画として上場企業の女性役員比率を2020年までに10%に引き上げる目標を閣議決定。2016年には女性活躍推進法を施行するなど、積極的な法整備を進めてきました。

また、国際機関であるILO(国際労働機関)も、女性役員の登用が財務実績の強化、意思決定の質の向上、消費者理解の増進、人材の確保・育成につながるとした調査結果を発表しているなど、女性活躍を推進する動きは各方面でみられています。

セカンドキャリアで管理職を目指す女性の2つの課題

女性がセカンドキャリアで管理職を目指すためにはいくつか課題もあり、長く活躍するにはこういったポイントをクリアする必要があります。喫緊の課題は、制度や組織風土の整備と、家庭との両立です。

制度・組織風土の改革

女性が働きやすいように制度や組織風土を改革することは大きな課題です。

先述のように、女性活躍を推進する社会的な動向があり、女性を積極的に登用したいという考えは徐々に浸透しつつあります。しかし、そうであっても働き方の環境整備や組織風土の醸成には時間がかかり、試行錯誤しながら進めていくしかないのが現実です。

例えば、育児・介護と両立しながら働く社員に向けた休暇制度や時短制度、あるいはそういった社員への人事評価制度などはすぐに導入できるものではなく、慎重に構築する必要があります。また、これまで男性社会であった職場の空気を変えるには経営者や管理者が辛抱強く介入しなければなりません。

つまり、女性がセカンドキャリアで活躍するには、まだ制度や組織風土面が障壁となる可能性があるのです。

家庭との両立

また、家庭との両立も管理職として働く上で課題になります。

女性労働者には育児や介護といった家庭の事情を抱えながら働く人も多く、男性と同じようにフルタイムで働くことが難しいケースもあるのが現実です。会社によっては、フルタイム以外の働き方が想定されていない、あるいは休暇が取りづらい、さらには転勤を命じられるといった場合もあり、そもそも家庭の事情がある女性は働き続けること自体が難しいので退職せざるを得ないケースもあります。

セカンドキャリアで管理職や役員を目指す場合は、仕事に対するコミットメントが要求されるため、家庭を持つ女性はいかにして両立するかが課題です。

女性が管理職を目指しやすい会社の特徴とは

女性がセカンドキャリアで活躍するには、制度・組織面の整備や家庭との両立といった課題があると紹介しましたが、これは本人の努力だけで対処できる問題ではありません。そこで、セカンドキャリアでの活躍を目指すには、働きやすい職場を見極め、転職するという選択肢も有効です。ここでは、女性が働きやすく、管理職や役員を目指しやすい会社の特徴を紹介します。

公平・オープンな評価制度がある

人事評価制度が優れていることはセカンドキャリアで活躍する上で欠かせない条件です。

まず、能力や実績が公平に評価される制度であれば、女性が安心してキャリアアップを目指せます。従来は、正社員であればフルタイムが前提で、長時間残業や転勤もこなしてこそ高い評価が受けられるといった組織文化も珍しくありませんでした。

しかし、これは家庭と両立する必要がある女性にとって不利なのは確かです。そこで、さまざまな事情を抱える女性が活躍するためには、多様な働き方を尊重し、能力や実績をフェアに評価する制度でなければなりません。

また、評価の透明性も大切です。評価制度が立派であっても、評価方法が統一されていなかったり、評価基準が不透明であったりすれば、安心して管理職や役員を目指すことはできません。評価プロセスがオープンであることは転職先選びで確認したいポイントです。

女性の役職登用の実績がある

女性の役職登用の実績があれば、活躍できる可能性が高くなります。

政府としても女性活躍をスローガンに女性の管理職・役員比率を高める目標を掲げていますが、実際にはそれほど伸びていないのが現実です。この背景には、これまで社内で実力がある女性を確保・育成する仕組みが整っていなかったことや、未だに制度・風土改革が追いついていないことなどが挙げられます。

このような課題の克服には時間がかかるため、経営トップが女性活躍を打ち出している場合でも、実態とのギャップがあるのは事実です。そこで、これから転職を目指す女性は、女性管理職比率や女性役員登用の有無といった数値実績を確認すると、会社の実態を見極めやすくなります。

女性が働きやすい制度・環境が整っている

会社の制度や環境が充実しているかチェックすることも大切です。

女性が活躍しやすい職場として注目されている会社は、多様な働き方に配慮し、さまざまな取り組みを導入しています。定番の制度として挙げられるのは、時短制度、出産・育児・介護に伴う休暇制度、保育支援手当の支給制度などです。他にも、事業内保育所の開設や、テレワーク推進、女性の育成プログラム施行など、独自の仕組みを取り入れている会社もあります。

また、社員がこういった制度を希望通りに利用しやすく、本当に働きやすい環境になっているかも注目したいポイントです。例えば、多様な働き方への理解を促すために管理職や一般社員に向けた研修を行うことで組織風土を改革している会社もあります。こういった取り組みを確認することは会社の本気度を知る上で重要です。

女性がセカンドキャリアで管理職として活躍するために役立つスキル・経験

女性がセカンドキャリアで活躍するためには、会社の制度・環境も大切ですが、スキルや経験があることが前提です。ここでは管理職や役員として活躍するために役立つスキルや経験を紹介します。

マネジメントスキル

マネジメントスキルは、役職者として働くためには欠かせません。管理職以上に求められる代表的なスキルには以下のものが挙げられます。

- 業務遂行能力(テクニカルスキル)
- 対人関係能力(ヒューマンスキル)
- 概念化能力(コンセプチュアルスキル)

特に3つ目は物事の本質を見抜く能力とも言い換えることができ、大量の情報の中から優先事項を整理するために必要です。

専門スキル

専門スキルは、特定の分野で活躍するために欠かせない技能や技術です。セカンドキャリアで管理職や役員として働くためにはその分野について精通している必要があります。

なお、専門スキルはその業界でしか生かせないわけではありません。法務・総務のプロならどのような業界でもニーズはあり、ITスキル人材もいまや幅広い業界で必要としている状況です。何らかの専門スキルがあると転職では有利です。

業務実績

業務上の実績もあると役立ちます。

管理職や役員として登用されるには、何らかの実績が求められるのが普通です。実績があれば、それが能力の証明になり、役職者として活躍する上での名刺の役割を果たします。セカンドキャリアで転職する際は、過去の実績を洗い出してアピールすることが大切です。

セカンドキャリアで管理職を目指す女性が転職に成功する3つのポイント

セカンドキャリアで活躍することを目指す女性が転職で失敗しないためには、転職の方向性の明確化や共感できる会社選びが大切です。ここでは成功につながる3つのポイントを紹介します。

優先順位を整理する

仕事における優先順位を整理すると、転職の方向性が定まりやすくなります。

通常、会社選びの軸には待遇ややりがい、仕事内容、福利厚生などが挙げられますが、女性がセカンドキャリアでの活躍を目指す際は、特に就業環境や就業制度といった働き方に関するポイントも重要です。

ただし、これは本人の意思や家庭環境といった個人的な事情によって考え方が大きく異なる項目でもあります。まずは自分の状況や希望を整理し、優先順位をつけることが大切です。

企業理念や取り組みに共感できる会社を選ぶ

共感できる会社を選ぶことも、転職で成功するためには大切です。

管理職や役員は上位のポストであるため、必然的に経営幹部との距離が近くなります。経営トップと意思疎通を図りながら経営判断を下す機会も多いですが、お互いの方向性があまりにも異なる場合は調整に苦労するでしょう。

また、取り組みについても、例えば働き方をめぐる制度はその会社トップの考え方が端的に現れるものです。ここで共感できないと、実際に働く身として違和感を抱えながら仕事をすることになってしまいます。

このように、転職において会社への共感は重要な要素なのです。

転職エージェントを活用する

転職で成功するには転職エージェントを活用することも有効です。

女性登用に積極的な会社は増えてきており、良い条件で採用したいという経営者も現れています。しかし、管理職や役員といったポストは重要度が高く、一般的な求人サイトでは非公開になっていることが普通です。

また、女性がセカンドキャリアで活躍するには会社の風土や制度面も重要になりますが、いくつもの求人を精査するのは簡単ではありません。

そこで、転職エージェントに相談すれば、非公開も含めた優良案件の中から最適な求人の提案を受けられます。転職先選びで重視したい項目を伝えておけば、その点についてあらかじめチェックするよう依頼することも可能です。結果的に、転職で成功する可能性が高まります。

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「大手新聞社から電気工事業へ異色のキャリアチェンジ」

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