2020/12/03
社内SEの転職事情とは?需要が強い背景や求められる4つの要件と転職で成功するコツを紹介
社内SEは社内システムやインフラの開発・保守運用を行う仕事です。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をはじめITを積極的に活用する会社が増えつつあり、IT人材を内製化するために社内SEを確保する動きも広がっています。社内SEとして収入増やキャリアアップのチャンスは増えていますが、転職の失敗を避けるには転職事情を知っておくことが大切です。本記事ではSE全体の転職事情を紹介した上で、社内SEへの需要や魅力、活躍する4つの要件や転職の成功ポイントを紹介します。
転職前に知っておくべきSEの転職事情
SE(システムエンジニア)の方が転職する際は、あらかじめ転職市場の動向や賃金の傾向などを知っておくことが大切です。ここではSE需要や年収、活躍できる分野について解説します。
SE需要は逼迫傾向が継続
SEへの需要は高まっているものの人材の供給は不足しており、SEの転職市場は逼迫傾向が続いています。
経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、2018年時点でIT人材は22万人不足しているという試算結果でした。さらに今後もIT需要が高まっていくのに伴って人材不足が継続すると予測されています。仮にIT需要がわずかしか増えていかない場合でも、2025年には2.6万人から16.8万人のIT人材が不足。IT需要が大きく伸びていった場合、2025年には39.7万人から58.4万人が不足すると試算されていました。
IT人材には事業企画担当者やコンサルタントなどのSE以外の職種もありますが、多くを占めるのはアプリケーションやインフラ系の技術面を担うSE職です。SE需要は今後も高い水準が続くことが見込まれています。
年収は上昇傾向
SEの年収は上昇している傾向にあります。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、2015年から2019年までのシステムエンジニア職の平均賃金は以下のようになっていました。
- 2015年:592.3万円
- 2016年:547.1万円
- 2017年:550.8万円
- 2018年:551.2万円
- 2019年:568.9万円
2015年から2016年にかけては減少が見られますが、2016年以降は緩やかな上昇傾向です。
また、経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、SEとして担当する役割や分野によって、高収入を得る人もいます。
- 高度SE・ITエンジニア:778.2万円
- プロジェクトマネージャ:891.5万円
- 組込みソフトウェアの開発・実装を行うSE:603.9万円
近年はAI(人工知能)の活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)への注目も高まりつつあり、SE職として高い収入が得られる仕事も増えている状況です。
活躍分野は多様化
SEとして活躍する分野は多様化しています。
SEといえば、従来はアプリケーションやインフラの開発・保守運用、各種カスタマーサービスなどが主な活躍分野でした。しかし、近年はAIやIoT、ビッグデータ活用といった高度デジタル技術の研究開発が進み、関連分野で活躍するケースも増えています。
また、クラウドによって安価かつ利便性が高いITサービスが普及してきた中、新型コロナウイルス感染症によってDX推進に強い関心を持つ会社も増えてきました。その結果、ベンダー側ではなく、ユーザー側として自社内のIT戦略・開発を担う社内SEのニーズも高まっている状況です。
需要の高まる社内SE。仕事内容・役割やメリット
高機能かつ安価なITサービスが普及し、DX化を推進する会社が増えている中、需要が高まりつつあるのが社内SEです。ここでは社内SEの仕事内容や、社内SEが求められる背景、社内SEとして働くメリットを紹介します。
社内SEの仕事内容・役割
社内SEは、社内のシステムに関する業務を一通り担当します。主な仕事は、社内システムの管理、社内インフラの管理、社内対応です。
会社には財務会計、勤怠管理、人事給与、顧客情報管理、生産・在庫管理などさまざまな社内システムがあり、社員が日々利用しています。また、こういったシステムを支えるためにはネットワークやデータベース、そして物理的なサーバーといった社内インフラが必要です。社内SEは、こういった社内で利用されるシステムやインフラを管理する役割があり、開発、保守、運用を行なっています。
加えて、こういった社内システムやインフラについて社内対応することも役割の1つです。例えば、部署増設や業務改革の際に経営者と連携しながら社内システムを構築し直したり、実際にシステムを利用する社員からの問い合わせに対応したりします。
社内SEが求められる背景
社内SEが求められている背景は、「ITはビジネスの道具の1つにすぎない」という状況が変化し、多くの会社にとって「ITの活用こそがビジネスの成否を左右する重要な要素だ」という認識になってきたからです。
近年は、あらゆる業種において人手不足が叫ばれ、各企業は生産性の向上を重要課題として取り組んできました。そこで、基幹業務システムや、業務プロセスを自動化する「RPA」といったITツールによって業務を効率化・自動化する取り組みが進められてきました。さらに2020年は新型コロナの影響でテレワークやオンライン商談といった手段が進み、業務をデジタル化するDXが推進されています。
このように、ITの活用が重大な経営課題となりつつある状況において、会社がITシステムの導入、構築、開発、保守・運用を外部ベンダーに委託するだけでは社内に技術が蓄積されずスピードも担保できません。自社内にITリソースを抱えることがビジネスの優位性にもつながるため、社内SEが求められているのです。
社内SEのメリット
社内SEとして働くことは、働き方やスキル獲得などの点でメリットがあります。
まず、通常のSEとの大きな違いとして、社内SEの主な仕事場は自社内です。SEは客先常駐や派遣という働き方をしている人も多く、常駐先のプロジェクトが終了したら次の場所に派遣されるということも珍しくありません。しかし社内SEは腰を据えて自社で仕事ができるという利点があります。
また、社内SEは社内のシステムを一手に担うので、幅広いスキル・知識を身につけられる点も魅力です。例えば、SEはアプリケーション開発を専門に手がけている人も多くいますが、社内SEではネットワークやサーバーサイドも扱うことがあります。そのため、エンジニアとして成長できるという点でも有利です。
社内SEに求められる4つの要件とは?必須スキルや知識
社内SEとして活躍するためには、エンジニアとしての基礎的なスキルだけでなく、幅広い知識やコミュニケーション能力なども必要です。ここではSEとして必要な4つの要件について紹介します。
幅広いITスキル
社内SEには、幅広いITスキル必要です。
先述の通り、社内SEは社内で稼働しているシステムを扱います。社内システムには会計、人事、労務に関わる基幹系システムの他、生産、顧客、在庫情報などの事業系のシステムもあり、非常に豊富です。これら全てに精通するのは難しいとしても、それぞれのシステムの概要やシステム同士のつながりなどは理解しておく必要があります。
また、社内のネットワークやデータベース、サーバーといったインフラを扱う能力も必要です。そのため、何かの領域に特化していれば良いというわけではなく、必要であれば何でも対応できる能力が求められます。
コミュニケーションスキル
社内SEには優れたコミュニケーションスキルも必要です。
社内SEは、会社で働く社員が使用するシステムを扱います。そこで、システムが故障したりエラーを起こしたりしないようにメンテナンスするのはもちろん、社員がスムーズに仕事をしやすいシステムを提供しなければなりません。そのためには、最終的にシステムを使う現場の人が何に困っており、何を望んでいるのかを理解する力が必要です。
また、社内SEは社内のIT戦略の策定・実行に携わることもあります。このような場合は経営陣や事業部門のマネージャーなどと意思疎通を図ることになりますが、その際は会社側が何を実現したいと考えているのかをすり合わせる力が必要です。
業務プロセスへの理解
社内の業務プロセスを理解しておくことも必要です。
近年は人手不足やテレワークへの移行に伴って、業務の生産性を高めるためにITを活用したいと考えている経営者は増えています。そこで、現行の業務にどのようにITを導入すれば業務改革が実現できるのかを検討する目的で、社内SEの知見が求められる機会も増えている状況です。
このような場面で効果的な提案をするためには、社内SE自身が業務プロセスを理解しておくことが欠かせません。業務プロセス改善にITを活用する際、誤ったツールを導入してしまうと莫大な費用損失になり現場社員も混乱しますが、現場を把握した上で的確に導入すれば、大きな生産性向上につながり、社内SEとしての評価も高くなるでしょう。
最新の技術動向への知見
最新の技術動向に対する知見も必要です。
IT技術は日々新しい動向があり、導入することで業務効率やコスト削減、セキュリティ向上などを実現できるものも数多くあります。最新動向を把握していなければ、社内にとってメリットのあるサービスを見落としてしまい、機会損失につながりかねません。社内SEは現行のシステムの保守運用を行うだけではなく、幅広く情報収集して、知見を蓄積しておく必要があります。
「IT人材白書2020」によると企画・設計といった上流工程を内製化している会社では、外部のITサービスを利用して
社内SEの転職で成功するための3つのポイント
IT活用は多くの会社にとって重要課題であり、優秀な社内SEは高収入やキャリアアップのチャンスが増えています。転職の際は、こういった動向を知りつつ、失敗しないように準備しておくことが大切です。ここでは社内SEとして転職で成功するための3つのポイントを紹介します。
IT戦略に共感できる会社を選ぶ
まず、IT戦略に共感できる会社を選ぶことが大切です。
先述のように社内SEを求める動向が広がりつつあるといっても、IT活用に積極的な会社がある一方、実際にはITを1つの業務ツールとしてしか扱っていない会社も存在します。IT戦略を重視している会社では成長機会がありIT戦略策定といった責任の大きな仕事ができるチャンスもありますが、そうでない会社では決められた業務を安定的にこなすことが重視されるでしょう。
エンジニアとして成長志向が高いなら、「自分の実力や経験を活かせるか」、「ITエンジニアとしてやりたいことを実現できるか」、「成長できる環境か」といった会社選びの判断軸を明らかにすると転職の後悔を防ぎやすくなります。
能力を正当に評価する会社を選ぶ
スキルや成果を正当に評価する会社を選ぶことも大切です。
人手不足による生産性向上や、DXに対して積極的に取り組む会社は増え、社内SEへのニーズは高まりつつあります。このような中、優秀な社内SEには高い待遇を用意することで確保しようとする会社も増えており、スキルの高い社内SEは好条件のポストに就くチャンスも多い状況です。
ただし、年功序列などの従来型の待遇テーブルをもとに、低い待遇を提示する会社もあります。転職で高い待遇を狙う場合、こういった会社には注意が必要です。
転職エージェントを活用する
転職で成功するには転職エージェントを活用することも有効です。
社内SEに限らずSE職の求人数は膨大で、その中から自分に合う仕事を探し出すのは簡単ではありません。裁量が大きい社内SEを募集する場合、経営上重要なポストなので非公開となっていることも普通です。また、転職する上で事前に知っておきたいその会社のIT戦略を、個人が外部から調べるのには限界があります。
転職エージェントを活用すれば、非公開求人を含む案件の中からスキルや経験に合った求人の提案を受けることが可能です。また、エージェントを通してその会社のIT事情をリサーチしたり、経営者面談によって直接すり合わせたりすることもできます。そのため、満足度の高い結果につながりやすいのです。
なお、ハイクラス・エグゼクティブの移籍を専門に手掛ける『転機』ではSE・社内SEの案件を抱えており、経営者面談の調整も実施しております。
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