2022/06/28
異業種への転職に必要な条件とは?転職状況と異業種でも活かせるスキルを紹介
最近の傾向では転職者の多くが異業種への転職・移籍をしており、求人を行う企業側も異業種人材の採用に前向きです。異業種であっても同じ職種、または、現職と共通点のある職種なら転職しても成功する可能性があります。転職先候補を幅広い業種に設定するメリットは、キャリアの選択肢が増え理想の転職先と出会いやすくなることです。
本記事では2020年〜2022年の転職状況や、異業種でも活用できるスキルについて解説します。異業種・異職種への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
異業種・異職種への転職動向やメリット
転職活動をする時は、経験した業種にとらわれず幅広い業種の求人を検討するほうが、自分の求める企業に出会える可能性が高まります。最近では異業種・異職種への転職者が増加しており、もはや同業種・同職種にこだわる必要はありません。最近の転職事情と異業種・異職種への転職におけるメリットについて、以下で解説します。
異業種・異職種への転職事情と増加の背景
「人生100年時代」を迎えたいま、「終身雇用」よりも「終身成長」できる環境を求めて異業種・異職種へ転職する人が増えています。また、企業側も異業種・異職種の人材を取り入れてビジネスを変革したいと考える傾向にあります。
大手転職サービスが実施した転職者に関する2020年度の調査をみると、現職の業種から異業種への転職例が転職者全体で60%を超えており、経験職種別でもほぼすべての職種で50%超となっています。年代別に見ると、全体では60%超が異業種への転職です。特に、ハイクラス・エグゼクティブ層が増える40代以上では異業種への転職が61.2%を占めます。
異業種・異職種に転職するメリット
異業種・異職種に転職するメリットは、転職先の業種・職種を拡大することによってキャリアの選択肢が増えることです。
転職先が現職とは異なる業種であっても、就業する職種が現職と同じであれば現職での経験やスキルをそのまま活用できる場合があります。例えば、総務や経理であれば業種を問わず業務内容が共通しているため、新しく習得しなければならない内容は業種や転職先独自の知識に限られるでしょう。
ただし、異業種・異職種に転職する場合でも現職での経験やスキルを活用できる可能性はあります。くわしくは後ほど説明します。
異業種の人材を積極的に受け入れる業種とは
異業種からの転職者を多く受け入れているかどうかは、業種によって差があります。大手転職サービス運営会社が2020年6月から2021年7月までの転職者約3万人を対象に実施した調査によると、異業種からの転職者割合(業種別)は次の通りでした。
- 商社:約86%
- サービス:約83%
- インターネット/広告/メディア:約74%
- 小売/外食:約73%
- メディカル:約64%
- 建設/不動産:約59%
- 金融:約59%
- IT/通信:約58%
- メーカー:約52%
このように、他業種からの転職者が圧倒的に多い業種も存在します。加えて、異業種からの人材受入れ率が最も低いメーカーであっても転職者の約52%は異業種出身です。そのため、基本的にはどの業種であっても、異業種転職を検討する余地があるといえます。
異業種への転職でも活躍できるスキル・知識や姿勢とは?
企業が採用時に重視する主な要件は以下の4つです。
- ポテンシャルスキル:基礎学力や素養、職務遂行能力
- スタンス:仕事に対する価値観や考え方
- 汎用スキル:業界問わず活かせる仕事の強み
- テクニカルスキル:専門的な知識や経験
テクニカルスキル以外はどのような業種でも生きる要素のため、異業種への転職で活用できるものです。
なお、業種・業界を問わずに活用できるスキルのことを「ポータブルスキル」と呼ぶこともあります。厚生労働省が平成26年度に実施した「“ポータブルスキル”活用研修」において、ポータブルスキルを構成する要素は以下の3つと定義されていました。
- 「専門技術・専門知識」(汎用性のある専門技術・専門知識)
- 「仕事のしかた」(仕事への取り組み方・スキル)
- 「人との関わり方」
それぞれのポータブルスキルについて以下で解説します。
汎用性のある専門技術・専門知識
業種や職種を問わず幅広い機会で通用するスキルであれば、専門技術・専門知識もポータブルスキルに該当するとされます。特に、外国語や法務・財務など汎用性の高い特別なスキル・知識・経験を持っていると、転職市場において価値が高いと評価されます。
また、現職の業界構造を深く理解している人材は、仮に異業種であってもその知識や経験を活かせることがあります。例えば、建設業界とIT業界は、扱うものは建築物とITシステムで全く異なりますが、多くのプロジェクトが請負受注型であり労働集約的な進め方である点は酷似しています。このように、特定の業界の理解や経験が他の業界でも応用できることは多いため、専門知識を持つ人材は業種を超えて市場価値が高いというケースが発生します。
仕事への取り組み方・スキル
「仕事への取り組み方・スキル」とは仕事を効率的に進めるためのスキルです。主に、以下のようなスキルがあります。
- 課題を明らかにする能力
- 計画を立てる能力
- 実行力や行動力
- 論理的思考能力
- コミュニケーション能力
つまり、企業名や自社サービス力、エリア特性に左右されない「自分自身の基本的な能力」があるかどうかが転職時に評価されるのです。業種独自の知識は入社後に勉強しても遅くありません。
人との関わり方
上司や部下、同僚、取引先や顧客など、人間関係と無縁の業種・職種は皆無といえます。そのため、人との関わり方に関するスキルは、どの業種・職種でも欠かせないものです。例えば、信頼を獲得して前向きな対話をするにしても、相手に理解してもらえる説明をするにしても、コミュニケーション能力が求められます。
また、円満な関係を築くためには社交性や空気を読むスキル、相手の話に真摯に耳を傾けて理解する傾聴力も必要です。部下を指導したり、チームリーダーとして同僚を引っ張っていったりする立場であれば、リーダーシップも要求されます。
異業種への転職に向く職種・向かない職種とは?
異業種への転職が成功しやすいかどうかは現在の職種にもよります。その理由は、業務内容に汎用性の高い職種と低い職種が存在するためです。以下で、異業種転職に向く職種と向かない職種について解説します。
異業種への転職に向く職種
営業、マーケティング・商品開発、管理部門(事務・財務・経理)、接客・販売、ITエンジニアなどは異業種への転職に向く職種です。
営業
営業職では傾聴力、提案力、交渉力、課題解決能力、顧客管理力、社内調整力といったスキルを養えます。それらは業種を問わず活用できるため、異業種へも転職しやすいといえます。
マーケティング・商品開発
マーケティング職は、データの分析やデータに基づく企画立案などビジネス上の汎用性が高いスキルを養える職種です。そのため、営業職やコンサルタント職など、多くの職種への転職に向いています。
管理部門(事務・財務・経理)
事務職ではビジネス文書を作成するパソコンスキルを養えます。財務・経理職も汎用性の高い専門スキルを得られるため業種を問わず活用でき、異業種への転職も難しくありません。
接客・販売
接客・販売職は比較的、社員の入れ替わりが激しい職種のため、求人数も多い傾向です。また、接客スキルは営業職など多くの職種に活用できるため、異業種への転職にも向いています。
異業種転職に成功した事例
ここでは異業種転職に成功した事例を3つ紹介するので、参考にしてください。
元証券アナリストが国内中堅部品メーカーの海外事業戦略部マネージャーに
証券アナリストとして外資系投資ファンドで働いていた方の事例です。国内の中堅部品メーカーにおいて「海外事業戦略部マネージャー職」を任せられ、転職の成功を収めました。
転職活動中はヘッドハンターから主に金融の仕事を紹介されていたのですが、ご自身のなかでは「事業会社に入社して会社を成長させる過程に携わりたい」という思いが強くあったそうです。面接でもその思いを強く訴えつつ、「金融業界で得た知識・経験を転職先でどのように活用できるか」をアピールすることによって、内定を勝ち取りました。
小売関連業の管理部門からメーカーの総務部門へ
中小規模の小売関連業で管理部門全般や社内SEなどを経験してきた方の事例です。幅広い経験を積み重ねて収入面でも充実していたものの、会社や市場の将来について不安を感じ始めた40代前半に転職を視野に入れ始め、転職エージェントに相談しました。
専門分野の知識・経験・スキルにくわえ、将来への展望を持って自らアクションを起こせる「仕事への取り組み方」のポータブルスキルがある方です。そこを転職エージェントに評価され、別業種でも十分に成果を出せると背中を押されて精密機器関連メーカーが募集していた総務部門の求人に応募しました。転職後は周囲の期待を上回る活躍を見せています。
店舗接客業からブライダルカウンセラーへ
小売の店舗接客業からブライダル業のカウンセラーに転職した方の事例です。
長きにわたる店舗接客で築き上げてきた「お客様の立場になってご要望を理解し、寄り添う」スキルを活用できる転職先として、人生の節目における大切なイベントをお客様とともに作り上げるブライダル業へ応募・転職しました。その後は、店舗でクレームや要望に対応した経験で培われた傾聴力で、お客様のニーズを引き出し、理想の式の実現をサポートしています。
【サービス紹介】『転機』ではご経験を活かせる新たなキャリアに向けて徹底サポートします
ハイクラス・エグゼクティブの移籍・転職を専門に手掛ける『転機』では、責任ある役職でご活躍中の方やご経験をお持ちの方に、異業種も含めて、その知見やノウハウ、卓越したリーダーシップや推進力を活かせる新たなキャリアをご提供します。
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